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POSTED/2022.06.28

ブラスト研磨材とは

研磨材の材質

ブラスト研磨材の種類は大きくは9系統、材質やサイズのラインナップを含めると全400種類以上もあります。本記事では、 なぜブラスト研磨材がそれほど多様なのか、解説いたします。まずは最も大きな分類として、材質について知ることで全体観を掴むことができます。以下のように硬度と真比重(重さ)で整理すると、研磨材全体を俯瞰して見ることができます。

上のように整理することで、ブラスト研磨材は幅広い硬度のラインナップがあることが分かると思います。これは市場にある様々な製品の硬い/軟らかい材質に幅広く対応するためです。製品よりも研磨材の硬度が低すぎる(軟らかすぎる)場合、そもそも研削することができません。一方で研磨材の硬度が高すぎる場合は、表面を削り過ぎてしまうため、加工が難しくなります。したがって、加工製品と同じ材質、同程度の硬度をもつ研磨材を選択するのが一般的です。

また、加工ニーズによっても、研磨材の選択が変わります。例えばアルミの製品に対しては、鉄系、アルミ系、樹脂系などの研磨材が使い分けられます。「確実にバリ取りしたい」「短時間で加工したい」といったニーズの場合、製品よりも高い硬度の研磨材を選択します。逆に、「製品にダメージを与えたくない」といったニーズに対しては、製品よりも低い硬度の研磨材を選択します。

また、ブラスト加工は研磨材を「投射する」という加工特性上、研磨材の比重(重量)が加工力に大きな影響を与えます。例えばピーニング加工では、製品内部まで力を伝える必要があるため、比重も硬度も高い鉄系研磨材がよく選択されます。一方でデリケートな半導体などのバリ取り加工などにおいては、低比重、低硬度の樹脂系のナイロンが選択される場合が多いです。

研磨材9系統の特徴

ブラスト研磨材の種類は大きくは9系統(樹脂系、植物系、アルミ系、亜鉛系、銅系、鉄系、ステンレス系、ガラス系、セラミック系)に分類され、それぞれ独自の特徴があります。

樹脂系

特徴:ダメージレス、汎用性が高い

硬度:2.0~4.0MH(7.1HV程度)

比重:1.15~1.55g/cm3

形状:円柱状/多角形/鋭角状

備考:静電気対策が必要


ナイロン等の合成樹脂材の研磨材です。ブラスト研磨材の中では最も軟らかく、ダメージレスな加工が可能です。樹脂や軟質金属、ゴムに対して広く使用されるほか、冷凍バリ取りにも対応可能で、材質や温度を問わない、高い汎用性を持つ研磨材です。

植物系

特徴:ダメージレス、ローコスト

硬度:2.0~3.5MH(7.1HV程度)

比重:1.15~1.41g/cm3

形状:多角形

備考:油分がある


クルミなどの天然素材の研磨材です。硬度が低く、ダメージレスな加工が加工が可能で、かつ研磨材コストが安いです。粒子が細かく、エッジのある多角形状であるため、微細な加工も可能です。樹脂製品に対して広く使用されます。

アルミ系

特徴:アルミ製品特有の白色光沢を残せる

硬度:40~130HV

比重:2.71g/cm3

形状:円柱状

備考:粉塵爆発対策が必須


樹脂系、植物系に次いで、軽くて柔らかい研磨材です。主にアルミのダイカスト製品のバリ取り、離型剤除去に使用されます。アルミ製品に対しては同じ材質を使用するため、アルミ特有の白い表面光沢を残したまま加工ができます。一方でアルミ粉塵は爆発感度が高く、粉塵爆発の対策が必須です。

亜鉛系

特徴:アルミ製品の粉塵爆発を防ぐ

硬度:85~100HV

比重:7.0~7.1g/cm3

形状:球状/円柱状


粉塵の爆発感度が低く、アルミ製品に対して安心して使用できる研磨材です。アルミダイカスト製品のバリ取り、付着物除去のほか、低硬度、高比重の特性から、塗装剥離などにも使用されます。

銅系

特徴:軟らかく、パワフル

硬度:100~130HV

比重:8.7~9.0g/cm3

形状:円柱状


低硬度ですが、しっかり重量のある金属材です。軟らかいので製品表面にキズが付きにくく、かつ高比重でパワフルに加工が可能なため、主に塗装剥離に使用されます。

鉄系

特徴:研削力に優れ、幅広い用途に対応

硬度:150~950HV

比重:7.2~7.8g/cm3

形状:球状/円柱状/多角形/鋭角状

備考:設備ダメージへの対策が必要


研削力に優れた研磨材で、鉄製品に対しては最もメジャーな研磨材です。ラインナップとしては、軟質の鋳鉄から高硬度の焼き入れ鋼まで広範囲の硬度をカバーし、形状やサイズの種類も豊富です。金属材全般のバリ取り、除去、ピーニングなど、幅広い用途に対応できます。

ステンレス系

特徴:耐久性に優れ、研削力も高い

硬度:240~600HV

比重:7.0~9.0g/cm3

形状:球状/円柱状

備考:粉塵爆発対策が必須


粘り気があり割れにくく、高硬度で、耐蝕性もあるため、とても耐久性の高い金属研磨材です。研削力に優れるため、硬い鉄製品のバリ取りやコンクリート製品の表面加工に広く使用されるほか、アルミダイカスト製品に対しては、研磨材をほぼ摩耗させることなく加工が可能です。

ガラス系

特徴:エアーブラストに幅広く対応

硬度:500~550HV

比重:2.5g/cm3

形状:球状/多角形


軽量で高硬度という特性から、空気圧で投射するエアーブラストと相性が良い研磨材です。パウダーから大粒まで、最も幅広いサイズラインナップがあり、かつ研削力の高さから、鉄、非鉄、樹脂など製品材質も問わず、とても幅広く使用できる研磨材です。

セラミック系

特徴:最高硬度、高脆材を加工可能

硬度:700~2500HV

比重:3.22~3.85g/cm3

形状:多角形

備考:研磨材が刺さる場合がある


ブラスト研磨材の中で最高の硬度を持ち、硬くて脆い高脆材に対して唯一加工可能な研磨材です。パウダー状の微小サイズも取り揃えており、小さな製品の加工や、微細な研削加工が可能です。樹脂、金属、セラミック、シリコンなど幅広い材料に対して使用できます。

研磨材の形状

次にブラスト研磨材の形状について解説いたします。形状は大きく4種類あります。性能としては、以下のように、エッジの有無、角度が研削力に影響すると、一般的には考えられています。

 

研磨材が凸状のエッジをもつ形状の場合、エッジ部分が製品表面に対する接触面積が小さく、高い圧力で表面を加工することになり、研削力が高くなります。球状はエッジが無く、最も研削力が低い形状です。円柱状は両端面円周端上に直角のエッジをもつため、球状よりも研削力が高いです。多角形、鋭角状は、様々な方向に凸形状の鋭角のエッジを持ち最も研削力が高い形状になります。

 

 

形状の選択の方法としては、加工目的や要求品質によって最適な形状が選択されます。例えばピーニング加工のような、表面を研削しない加工においては、完全にエッジのない球状の研磨材が選択されます。一方で表面加工や確実なバリ取りの実施の際には、エッジが多角形/鋭角状の研磨材が選択されます。

 

 

以上のように、ブラスト研磨材は、多様な製品材質、多様な加工ニーズに対応できるように、幅広く多様なラインナップの材質/形状/サイズが存在します。この研磨材の多様性は、「より良い加工」を求め続けたブラスト加工の歴史そのものであり、一粒一粒に、先人の知恵と想いが凝縮されています。

 

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