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POSTED/2022.07.08
ブラスト装置とは
ブラスト装置の基本的な4方式
ブラスト装置は様々な分類がありますが、まず投射方式において、大きくショット/エアーの2種類に分類されます。
ショットブラストは機械式とも呼ばれ、羽根車(インペラー)の回転力によって研磨材を投射する方式、エアーブラストは、圧縮空気などの風圧によって研磨材を投射する方式となります。
次に投射物として、研磨材に水を混合するか否かで、 ドライ/ウェット(乾式/湿式)の2種類に分類され、ブラスト装置全体としてはそれらの組み合わせとして、ショット/エアー/ウェット/ウェットショットの4種類に大きく分類されます。
ただし、ウェットショットブラストは開発段階の技術であり、まだ実績の少ない方式なので、一般的なブラスト装置はショット/エアー/ウェットの3方式に分類される場合がほとんどです。
ショットブラストとは
ショットブラストは、回転する羽根車(インペラー)によって、研磨材を投げ飛ばすようにして投射するブラスト装置であり、機械式、研掃機などとも呼ばれます。
特徴としては、直接研磨材を投げるため、重量のある金属系研磨材が使用可能で、高い研削力を発揮できる点や、一度に広範囲かつ大量に研磨材を投射できるため加工効率が良い点、コンプレッサーを使用しないため電力消費が比較的小さい点が挙げられます。
したがって、ワーク全体を効率よくスピーディーに加工できる方式となっています。
一方で、ドライ方式であるため、加工時に発生する粉塵が発生します。
これは放置すると、作業者の塵肺などの危険が生じるため、加工室(キャビネット)の密閉と常時吸引、そして必ず集塵機がセットで必要となります。
構造としては、下図に示すように、設備上部から研磨材が重力により導入管を通して羽根車に供給され、モーターで回転する羽根車によって研磨材が投射されます。
投射後の研磨材や削られたバリは設備下部に溜まり、バケットエレベーターによって掬い上げられ、設備上部でセパレーターと呼ばれる分離機において、比重の軽い粉塵やバリ、摩耗して小さくなった研磨材が風力によって集塵機へ回収されます。
比重が重く再利用可能な研磨材はそのまま羽根車に再投入されます。
エアーブラストとは
エアーブラストは、コンプレッサーやブロアーによって発生した空気圧によって研磨材を吹き付けるようにして投射するブラスト装置です。特徴としては、大きく2点あります。
1点目は研磨材の加速をエアーによって非接触で行えるため、脆く割れやすい研磨材(ガラス系等)や、硬度が高く接触部を強く摩耗させてしまう研磨材(セラミック系等)が使用できます。
2点目の特徴は、射出部のノズル形状を選択でき、特にノズル小径化によって投射位置を集中させ、微細な溝、穴加工などが可能となります。
以上2点はショットブラストにはない特徴となります。
また、ショットブラストと同様に、ドライ方式であるため、粉塵対策が別途必要となります。
エアーブラストは下図に示す通り、大きく3種類に分類でき、それぞれ得意とする性能が異なります。
エアーを発生させる動力としては、高い圧力を生成できパワフルなコンプレッサーエアータイプと、消費電力の小さいブロアタイプの大きく2種類に分類できます。
さらに、コンプレッサーエアータイプは、研磨材の供給方法として、重力と負圧でノズル部まで引き込む「重力式(サクション式)」と、研磨材タンクも加圧して供給する「直圧式(加圧式)」の2種類に分類できます。
したがってエアーブラストは大きく分類すると重力式/直圧式/ブロア式の3タイプに分けられますが、それぞれ加工力、投射量、消費電力において性能が異なるため、用途や加工目的に合わせて選択します。
一般的には、性能のバランスが良い重力式(サクション式)が選択されることが多いです。
ウェットブラストとは
ウェットブラストは、投射方式としてはエアーブラストと同様、コンプレッサーの圧縮空気を使用しますが、投射物として研磨材に水を混合させた「スラリー」と呼ばれる泥状の研磨材を投射するブラスト装置です。
特徴としては、研磨材を水とともに投射することで、研磨材が小さくても飛散しないため、数μm単位の極小の研磨材が使用可能で、高精密な加工が可能です。
また、水を同時投射するため、洗浄効果が得られ、ワークの研磨材残りが少なく、粉塵も発生しにくいです。
一方で、水を使用するため、錆に弱い金属材料や、濡れることで性質が変化してしまう材料などには不適です。
その他、スラリーを含んだ排水の処理などを考慮する必要があります。
加工室タイプによる分類
ブラスト装置の細かい分類として、加工室タイプによる分類があります。
加工室タイプの大きな分類としては、ワーク流動によってバッチ型/連続型の2種類に分けられます。
バッチ型は閉鎖された加工室内のワークを一定数単位量で入れ替えして加工します。
一方で連続型は加工室が開放しており、ワークを流動させながら連続的にライン加工ができます。
設備の大きさとしては、バッチ型は比較的小型/低コストで、連続型は大型/コスト大となる傾向にあります。
したがって、少量生産にはバッチ型、大量生産には連続型が選択されます。
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バッチ型(例:ドラムタイプ)
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連続型 (例:コンベアタイプ)
加工室タイプ毎の特徴
加工室タイプは、ワークの保持方法によってさらに細かく分類されます。
ワークの保持方法が様々で、回転する槽に入れたり,吊るしたりするなど、様々なタイプがあり、ワークの大きさ、形状、生産量などのニーズに応じて、最適な加工室タイプが選択されます。
以下より、主要な加工室タイプの6方式とその特徴について解説します。
テーブルタイプ
分類:バッチ型
加工室内に回転式のテーブルを備え、ワークを回転させながら加工が可能です。ワークを同時に複数加工する際には、ワーク同士が接触しないため、デリケートな製品の加工が可能です。一方でワークの裏返しなどは手動で行う必要があり、加工数も少ないため、少量生産や大物加工に適しています。
ドラムタイプ
分類:バッチ型
加工室内に回転可能なドラム(籠、槽)を備え、そこにワークを投入し、回転攪拌しながら加工する方式です。比較的大量のワークを同時加工できます。一方でワーク同士が接触するため、デリケートな製品には不向きです。主に小物製品に対して採用されます。
エプロンゴムタイプ
分類:バッチ型
加工室内にゴムシートのコンベアを備え、ワークを転がしながら加工する方式です。ドラムタイプよりも大物製品に対して採用されます。
モノレールタイプ
分類:バッチ型
ワークを吊り下げ、モノレールによって加工室に搬入し、加工する方式です。数トン単位の重量物、大物製品に対して採用されます。
ハンガータイプ
分類:バッチ型
加工室内に枝状のハンガーを備え、そこにワークをひっかけて半固定させて加工する方式です。テーブルタイプと同様に、ワーク同士が非接触で、加工数が少ない、少量生産向きですが、ワークの裏返しなどの手間がかかりません。
コンベアタイプ
分類:連続型
コンベアを備え、ワークを流動させながら連続加工が可能な方式です。主に長物に採用され、コイル材、線材、棒材、鉄骨などに採用実績があります。
上記以外の加工室として、台車タイプ、ロボットアームを備えたタイプ、手動タイプなどもあり、より細かい分類としても、例えば複数のテーブルを備えて作業効率化したマルチテーブルタイプなど、より細かいニーズに応えた加工室タイプも存在します。
以上をまとめると、ブラスト装置は投射方式が4方式、加工室タイプが2型/6タイプ+αによって分類ができ、幅広い加工ニーズに応えることができます。
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